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民事裁判の流れ
はじめに
本稿は、これから本人訴訟として民事裁判を始めようという方のために、「民事裁判の流れ」についてご説明するものです。
一口に裁判といっても、民事裁判、刑事裁判、家事裁判、行政裁判、その他の裁判などとその種類はさまざまです。これらはいずれも司法権の行使として、裁判所において行われるという点では共通していますが、それぞれの内容は全く異なっています。
本稿では、このうちの「民事裁判」に限ってご説明します。

まず簡単に言いますと、民事裁判は、民事訴訟法という法律に定められている「ルール」に従って、また長年にわたって裁判所を支配してきた、しきたりともいうべき作業の「流れ」に沿って進められていきます。
 
そこで、民事裁判の流れについて理解しようとするならば、最低限度、この「ルール」と「流れ」について知っておく必要があります。
裁判所という役所は、どこよりも不親切な役所です。書記官室と呼ばれる部屋のカウンターに行けば多少のことは教えてくれますが、裁判の本番が開かれている法廷では、裁判官も書記官も、まず何も教えてくれません。
裁判には原告、被告と呼ばれる戦いの当事者が存在するのですが、裁判官がどちらかの当事者に知識を与えれば、同時に相手方を不利に陥れることになります。これでは当事者双方に対して公平に接するという裁判所の立場に反してしまうことになります。
 
裁判の本番では、質問しても決して教えてくれませんし、途中で助け舟を出してもくれません。当事者の一方には代理人弁護士が付いていて、他方は本人訴訟であるという場合でも、双方ともに本人訴訟である場合にも、この原則は変わりません。
 
そこで、これから本人訴訟を行おうという方は、まずこのことをしっかり頭の中に入れておく必要があります。本番の裁判が始まってしまったならば、どこからも助け船はやってこないのですから、自分一人の知識と判断力だけで戦っていかなければならないのですから。

そのような訳で、本稿においては、最小限度の民事裁判の流れについてご説明することにいたしましょう。
 以下にご説明する内容は、民事裁判に関する必要最小限のものです。これだけの知識で勝訴できるなどと保証できるものではありませんが、これだけの知識もなしに勝訴できるということは絶対にありえないということは保証できます。
 
実際には、このような手続の流れをとは別に、民事裁判で勝ち切るためには、民事裁判に特有な「ルール」があるのです。このルーの中には、民事訴訟法という法律には記載されていないにもかかわらず、このルール抜きには民事裁判を理解できないというものがいくつかあります。
そして実際には、この「ルール」が飲み込めないと、民事訴訟法を理解できないという面があります。
ただ、この「ルール」について説明しだすと、またかなりの紙数を書かなければならないことになりますので、この「ルール」についての説明については別の機会にさせいただきたいと思います。
 
提訴への準備 
 本人訴訟を独りで戦うということには大変な困難を伴います。そこで、本人訴訟に着手する前には、かなりの程度の準備が必要だといえます。
その準備とは
① 民事裁判に関して、最低限度の知識を身につけること。できれば、民事裁判に関する本を1冊熟読できればよいのですが、おそらくそのような時間はないのでしょう。そうでしたら、せめて、本稿を2,3回読み込んでみてください。流し読みだけでは意味がありません。本稿に記載されている内容がほぼ理解できたというレベルまではいく必要があります。
② これから本人訴訟を始める、始めたら最後までやり遂げるという強い気持ちを固めること。この気持ちが絶対に必要です。とにかく最後までやり遂げられれば、この裁判の勝ち負けは別として、一定の知識は必ず身につきます。そしてその知識が、必ず次の提訴の際に役立つに違いありません。
③ これから起こそうとする裁判に関する資料をできる限り集めること。
この後にご説明する「訴状」や「答弁書」という書類を作成するためには、この紛争に関連する資料を集め、それを分析して、ご自分の「主張」と呼ばれる言い分をきちんと固めることが勝訴への絶対条件になります。そのためには、この段階で、集められる資料を可能な限り集めたうえでこれを分析し、その資料に沿った「主張」、言葉を換えれば「資料」の裏づけのある「主張」の骨子を固めてから提訴に踏み切る必要があります。
 
そして、以上にご説明した準備が整ったと思えるようになったら、いよいよ、具体的な本人訴訟に踏み切ることになります。
その第1歩とは、「訴状」または「答弁書」という書類の作成ということになります。では、ここからは、本稿末尾に掲載してある「訴状」と「答弁書」のサンプルを見ながら読み進めてください。
 
「訴状」の作成と提出 
裁判を起こそうとする人を「原告」、起こされた裁判に立ち向かう人を「被告」と呼びます。これが話し合い解決を目的とした手続の場合には、裁判のことを調停といい、調停を起こそうとする人を「申立人」、起こされた調停に立ち向かう人を「相手方」と呼びます。
 
そして、まず「原告」となって民事裁判を始めようという方は、最初に、「訴状」という書類を作成して、これを裁判所に提出するというところからスタートします(133条)。
一方、民事裁判を起こされてしまった方は、この裁判に立ち向かうために最初に「答弁書」と呼ばれる書面を作成して裁判所に提出することになります(158条)。この「答弁書」については後ほどご説明いたします。
この「訴状」と「答弁書」という二つの書面は極めて重要な書類です。
この裁判のその後の勝ち負けの運命が、この二つの書面の出来具合で決まってしまうといってもよいほどです。
この裁判におけるそれぞれの言い分の骨子がこれらの書面に記載され、これらの書面が一度裁判所に提出されてしまうと、後になっての修正が効かなくなりますし、無理をして修正しようとすると、言い分の方向性が違った方へ向いてしまうことによる不利益が生じてくるからです。
そこで、弁護士に相談できる環境にある人は、可能な限り、この「訴状」あるいは「答弁書」という書面の中身をチェックしてもらうとよいと思います。そうすれば、この裁判に勝訴できる可能性がかなり高くなるに違いありません。

それではいよいよ「訴状」の作成にかかることにしましょう。
「訴状」では、この裁判の骨組みになる重要な部分と、それ以外に記載が要請されている要件部分とがあります(133条)。
まず、この裁判の骨組みになる重要な部分は、「請求の趣旨」と「請求の原因」と呼ばれる部分です。この項の末尾に添付してあるサンプルをご覧になってください。「訴状」にはどのような種類の裁判でも、この二つの項目の部分があるのです。
このうち「請求の趣旨」の部分は、この裁判で何を求めるのかという内容を記載します。
その記載方法としては「被告は原告に対して、金100万円を支払え」(貸金請求事件や売買代金請求事件など)とか「被告は原告に対して、別紙物件目録記載の建物を明け渡せ」(貸室明渡請求事件)とか「原告と被告とを離婚する」(離婚請求事件)というように、事件の類型ごとに記載の仕方が決められています。
そして、これらの定型文句に続いて次の行には「訴訟費用は被告の負担とする」と記載します。これは実際にはほとんど意味のない記載ですのでここでは説明を省略します。どうしてもこの意味を知りたい方は、「民事裁判の進め方」に関する書籍を購入して勉強してみてください。
最後には、金銭の支払いを求める裁判に限っては「この判決は仮に執行することができる」と記載します。
この種の事件に限っては、判決主文に、これと同様の文句を記載してくれることになっているからです。要するに、判決が確定するまで待っていなくても、強制執行をしてよいですよという意味の文句です。「確定」とか「強制執行」とかについては、最後のところでご説明します。

次に、「請求の原因」の部分は、「請求の趣旨」において求めているものの根拠な何なのかを説明するところです。
例えば「100万円を貸したのに返さないので、返還することを求める」とか、「家賃を3か月間もため込んで支払わないので、賃貸借契約を解除した。だからこの203号室から出ていけ」などという内容を、順序よく、わかりやすく整理して記載することが重要です。
ここで難しいことは「要件事実」と言って、請求の種類ごとに、最低限度、記載しなければならない事項が決まっているため、これらの事項を漏らさずに記載しなければならないということなのです。
例えば、貸金請求事件であれば、いつ、だれがだれに対して、いつまでに返済するという約束と、金利は年何パーセントにするという約束で、いくらのお金を貸したのかということを記載しなければなりません。
この「要件事実」の部分はかなり難しく、簡単なご説明をすることが極めて困難な領域です。「訴状」の作成の仕方だけは、弁護士の法律相談を受けたほうがよいと申し上げたのは、実にこの部分なのです。

それでは、骨組みの部分はここまでにして、次には、それ以外に記載が要求されている要件部分のご説明に移ります。
まず、「当事者」の部分です。この裁判を起こす「原告」は誰で、この裁判を起こされた「被告」は誰なのかを記載する部分です。
それぞれの郵便番号、住所、氏名(法人の場合には、法人名と代表取締役という肩書と、氏名)を記載します。
「送達先」という部分には原告の自宅か事務所の表示を記載することになります。準備書面などの、その後に当事者間でやり取りされる文書を、この住所に送付してくださいという場所を記載することになります。
 
次には、○○地方裁判所とか○○簡易裁判所という宛名を記載します。
この宛名については、民事訴訟法という法律によって定められている「管轄」というルールに従った裁判所の名前を記載することになります(3条の2)。この「管轄」というルールについては、やや複雑な構造になっていますが、できる限り簡潔にご説明すれば次のとおりです。
まず簡単に言えば、その裁判の被告とする人の住居地が「管轄」になります(4条)。
例えば、その人が川崎市高津区に住んでいる場合には、横浜地方裁判所川崎支部が、その「管轄」裁判所ということになります。
そして、この住居地を「管轄」裁判所とする原則に対する例外として、不法行為による損害賠償請求を行う場合には、不法行為地(たとえば、交通事故の場合には、その事故の発生地)、持参債務(弁済を行うに際して債権者のいる場所まで届けるように定められている債務)などの場合には、債権者である原告の住居地(例えば、原告が八王子市に居住している場合に「管轄」裁判所は、東京地方裁判所立川支部)というようなルールになっているのです。
但し、提訴すべき裁判所の場所がわかったとして、もう一つ知っておかなければならないものに「事物管轄」というものがあります(8条)。請求する裁判の「訴額」に応じて、最初に「訴状」を提出する裁判所が、簡易裁判所なのか地方裁判所なのかがわかれるのです。現在は「訴訟物価格」が140万円以下の場合には簡易裁判所の管轄とされており、それを超える場合には地方裁判所とされています。

その次には、この「訴状」を実際に提出する日付を記入します。
末尾には、「添付資料」として、証拠として提出するものを、「甲1号証」のように順番に番号を付したものを目次的に記載します。
また、自分か被告が法人である場合には、資格証明書として、その法人の「登録事項証明書」を法務局から取り寄せて、資格証明書として添付する必要がありますので、その記載をします。
「訴訟物の価額」欄には、民事訴訟費用等に関する法律で決められている、その事件で求めている事項の価額を記載します。例えば、100万円の貸金請求事件における価額は100万円です。貸室の明け渡し請求では、その建物の「評価証明書」を取り寄せて、その部屋の面積割合で案分比例した金額の6分の1相当額の数字を記載します。
「貼用印紙額」の欄には、上記の「訴訟物の価額」に対応して決められている金額を記載します。この「訴訟物の価額」と「貼用印紙額」については、裁判所に問い合わせれば教えてくれます。
これでとりあえず「訴状」は完成です。
 
完成した「訴状」には、印紙と送達用の切手(「郵券」と呼ばれます。その組み合わせについては裁判所に質問すれば教えてくれます)を添えて、裁判所の窓口に提出します。
この提出は郵送でもよいことになっているのですが、どうしても不十分な記載内容とか、印紙額の間違いなどもあり得ますので、窓口で教えてもらって修正するために、できるだけ持参したほうがよいと思います。その場合には、訂正に備えて、ご自分の氏名の右側に押印した印鑑(認め印でもよい)を必ず持参する必要があります。
 
期日の指定 
こうして「訴状」が無事に裁判所に受理されると、裁判所では、受理をした証明のために「事件番号」と呼ばれる番号を付けてくれます。この番号をもらって帰宅すると、およそ1週間前後ころに裁判所から連絡がきます。
その連絡では、「第1回口頭弁論期日」の日時の指定について打診されるので、自分の都合のよさそうな日時を回答します。日にちについては、裁判所ごとに開廷日といって、法廷を開く日を決めており、その日にちの中から、現時点でまだ空きがあるものが打診されますので、そこでよいと回答しますと、裁判所の書記官が、「それでは第1回期日は、◎月◎日の午前◎時に指定します。法廷番号は◎◎です。あらためて通知は行きませんので注意してください」と言って電話を切ります(94条)。
この指定された日時を忘れないようにメモをしておく必要があります。この日時に裁判所の、指定されている番号の法廷に出頭することになるからです。

「答弁書」の作成と提出 
「訴状」を受理した裁判所は、この事件をその裁判所の特定の「部」に配転し、その部の書記官が「訴状」に記載された被告の住所地宛てに「訴状」と「期日呼出状」と呼ばれる書類と「注意事項」を記載した書面とをワンセットにして、裁判所名の印刷された大きな茶封筒に入れて送達します。
裁判所の名前が入ったこれらの書類を受け取ると、被告は、自分あてに裁判が起こされてしまったことを理解することになります。
その「期日呼出状」には、「答弁書」という書類を作成して、いつまでに事前提出するように記載されています。この指定日は、ほぼ、「第1回口頭弁論期日」として指定された日の1週間前の応当日がその期限として指定されています(139条)。
そこで被告は、とにかくその指定日までに間に合うように、「答弁書」を作成しなければなりませんので早速その準備に入ることになります。
被告としては、この時点で弁護士に依頼するか、「本人訴訟」として自分で行うかを決めなければなりません。

「答弁書」の作成についてもルールがありますので、そのルールに従って作成する必要があります。
そのルールとは、まず、「訴状」の「請求の趣旨」という欄に記載されている事項の一つ一つについて、認めるのか争うのかを区別して記載するというものです。一般的には「原告の請求を棄却する」、「訴訟費用は原告の負担とする」と記載します。
ここで「原告の請求を認容する」と記載すると、すべてを認めたものとして、この裁判は終わってしまいますので、とにかく「原告の請求を棄却する」と記載しなければなりません。
「訴状」に最低限度記載すべき事項に漏れのあったような場合には、要件が不備であるため「原告の請求を却下する」と記載します。但し、実際には、このように却下を求めるようなケースはめったにありません。
また、「請求の原因」という欄においては、そこに記載された、1項目の事実ごとに、そこに記載された事実を認めるのか認めないのかを分類して記載することになりますが、この作業のことを「認否」と呼んでいます。
具体的には、「………については、」「認める。」、「否認する。」(認めないこと)、「不知」(自分が経験していない事項であるから、真実なのかそうでないのかについてわからないという意味です)の3種類によって応答すべきことがルールとして定められています。
裁判を起こされてしゃくにさわるから、すべて「否認」にしておこうという人も少なからずいるのですが、これは決して得策ではありません。
例えば、「被告はタクシーの運転手である」という事実については、その通りならば「認める」と認否すべきです。事実その通りなのですから、認めても何の損もないからです。このようにあたりまえのことまで否認してしまうと、裁判所から、この被告は変人だと思われてしまうおそれもあり、そのように思われてしまうと、大体その訴訟の結末は被告にとって好ましいものではなくなるのです。

最後に「被告の主張」として、被告の言いたい事項を述べておくという構成になっています。
この「被告の主張」欄には、「訴状」に記載されている事実との関係で、本当のところはこうなのだという意見なり、原告の主張する事実と実際とが異なる場合には、ご自分でこれが真実だと考える事実を記載すべきです。
もちろん、裁判所に理解してもらいやすいように、できるだけ簡潔に整理して作成したほうが得策であることは言うまでもありません。
なお、事案によっては、事実関係について時間をかけて調べてみなければ、認否の仕方が決められないということも少なくありません。このような場合には、「被告の主張」の欄には「追って、事実調査のうえ答弁する。」と記載して、被告としての主張については次回送りにすることも可能です。
ここまでお読みいただけたら、もう一度本稿末尾の「訴状」と「答弁書」のサンプルを熟読してみてください。

第1回口頭弁論期日
いよいよ第1回の口頭弁論期日として指定された日がやってきました。
原告も被告も指定された日の、指定された時間に、指定された法廷の部屋に出頭することになります。
裁判所では、長い廊下に同じかたちをした部屋がたくさん並んでいますので、部屋同士を区別するために、それぞれの部屋に法廷番号と呼ばれる番号を付けており、かなり目立つように掲載されていますので、その目印に沿って、決められた部屋に入り、その部屋のどこかに用意されている「出頭カード」にご自分の氏名を記載したうえで裁判官が登壇するのを待つことになります。
 
そして指定の時刻に裁判官が登壇して、「これから期日を開きます」と宣言すると、第1回の「口頭弁論期日」の開始になります。
ただ、実際には登壇した裁判官が軽く一礼をして裁判官席に着席すると、この期日の開催になるという扱いをしていることが多く、上記の開始宣言が省略されていることのほうが多いというのが実情です。
この第1回期日のことを「第1回口頭弁論期日」といいます。裁判における主張はすべて、法廷で、口頭で述べなければならないという原則からこのような名前で呼ばれるのです。ただ、これは、古い昔からの歴史的な産物であるといえるのですが、現在ではほとんど形骸化されており、「訴状」、「答弁書」、「準備書面」(161条)というような書類に主張のすべてを記載して持参し、法廷では、これを「陳述します」と述べるだけの儀式的なものになってしまっています(実際には、裁判官が「陳述しますか」と質問してくれるので、当事者は「はい」と答えるか、黙ってうなずく程度になっています)。
なお、この日までには原告によって「訴状」が、被告によって「答弁書」がすでに裁判所に提出されていることが普通です。

そして、原告は、この指定された日に、指定された法廷に出頭することが普通ですが、既に「訴状」が提出してある場合には出頭しなくても、出頭して「訴状」を法廷で陳述したものとみなしてもらえることもあります(158条)。
こともありますというのは、被告だけ出廷していて、原告のやる気のなさに怒って、手続を休止してくださいと裁判所に申し入れ、裁判所がこれを聞き入れると、休止になってしまう恐れがあるのです。
休止になってしまうと、弁論再開の申し出という手続を行うまでは裁判手続が止まったままとされてしまいますし、あまり長いこと休止のままにしておくと、やる気がないものとみなされて、その裁判を取り下げたものとして扱われる恐れも生じます。
従って、原告としては、第1回期日には必ず出廷すべきです。
 
一方、被告の場合には、第1回口頭弁論期日を一方的に指定されているため都合がつかないことも考えられますので、期日までに答弁書を提出し、期日には擬制陳述でお願いしますと申し入れておけば、出廷しなくても、その答弁書を陳述したものとして扱ってもらえます(158条)。
ところが、被告が期日までに答弁書を提出しておかず、かつ第1回期日に出廷しないと、欠席判決といって、原告の請求をそのまま認めたものとして扱われてしまい、敗訴判決を受けることになってしまいますので、くれぐれも注意が必要です(159条3項)。

この日までに裁判官は、「訴状」と「答弁書」に目を通して、どこが争いのない点であり、どこが争いのある点であるかについての見定めをしていますので、この日の法廷では、次回期日までに原告はどのような準備をするように、被告はどのような準備をするように指示をします。
そして、あらかじめ主張をする場合には、次回期日の1週間前の日までに、「準備書面」という書面に記載して郵送または持参にて裁判所と相手方に提出するように指示をします。
そして、裁判官が、出頭している当事者の都合も聞いたうえで、次回期日の日程を決めたうえで、この日の手続は終了になります。

なお、第1回期日であるかそれ以降の期日であるかに限らず、指定された期日にどうしても都合がつけられず出頭できないということも生じてきます。
急病、親族の危篤、葬儀などの場合です。その場合には、急いで裁判所に連絡して事情を述べ、あらかじめ決められて日を、別の日に変えてもらうことができます。これを「期日の変更」といいます(93条3項)。
但し、簡単にこの期日の変更を認めていると、いつまでたってもその裁判が終わらないことになりますから、裁判所はその判断で、延期することに理由がある場合に限って延期してくれるという制度になっています。
病気を原因とする場合には、診断書の提出を求められることもあります。
変更が認められる場合には、裁判所から「期日変更申請」という書類を作成して提出するように求められます。
そして、裁判所書記官の調整で次回期日が決まると「期日請書」という書面を作成し、決定された次回期日を記載して提出することが求められます。
この場合、相手方の当事者は「期日変更申請」の提出は不要ですが、「期日請書」の提出は必要とされています。
 

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