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本人訴訟で勝てるか
結論から言えば、本人訴訟で勝訴することは、不可能ではないものの、容易ではないといえるでしょう。以下にはその理由についてご説明します。
≪全く難しくない事件≫であれば、勝てる可能性はかなりあるでしょう。それでも、民事裁判のルールをきちんと理解したうえで、その裁判手続の最初から最後までをきちんと対応することが必要だといえます。
≪少し難しい事件≫であれば、その人が弁護士の支援を受けながら本人訴訟を続けるのであれば勝訴できる可能性があるでしょう。
そうでなければ、民事裁判のルールをきちんと理解している人であっても、その裁判に勝ち切ることは容易ではないでしょう。
民事裁判の基本的なルールとして「主張」と「立証」という二つの要素が絶対的に必要なのですが、難しい事件というのは、この二つの要素のうち、いずれかがあるいは両方が難しいということです。
特に「主張」がきちんと組み立てられていなければ、どのように立派な証拠を提出したとしても勝訴の可能性は全くありません。
従って、勝訴の可能性を手に入れるためには、この「主張」の骨組みの構築だけは弁護士の手を借りる必要があるものと考えられるのです。
≪かなり難しい事件≫であれば、本人訴訟で進めることは得策ではなく、最初から最後まで弁護士に任せなければ、勝訴のチャンスは生じてこないでしょう。
この種の事件は、最初から最後まで弁護士に任せたとしても、必ず勝訴できるとは限りません。いわゆる「微妙な事件」と呼ばれるものであり、実際にこの分類に当てはめられる事件が少なくありません。
実は、弁護士と一口に言っても、その力量は千差万別であり、特に民事裁判においては、弁護士の力量が勝敗の分かれ目になってしまうことも結構多いものです。
経験が豊富で、理論構成や文章表現力に優れていて、かつ勉強熱心で、判例に対する知識が豊富であるというような条件を満たしている弁護士は、おそらく割合的には数十人に一人くらいなのではないかと思います。
この分類に属する事件の場合には、そもそも、この数十人に一人くらいしかいない弁護士に依頼しなければ勝訴の可能性はほとんどないのです。
≪とんでもなく難しい事件≫であれば、数十人に一人くらいの腕の良い弁護士に依頼したとしてもなお勝訴の可能性がほとんどありません。
もとより、本人訴訟で戦っても、勝訴に至る可能性は全くありません。
実はこのような分類に属する事件というのは少なくないのです。いわゆる「筋悪事件」であり、「事実」そのものが勝訴の方向で組み立てられず、したがって証拠に沿った主張を生み出すことが全く困難な事件のことなのです。言葉を換えれば、事実関係そのものが勝訴できる要素を持っていない事件のことです。
このような事件の場合、ほとんどの弁護士は、あらかたの事情聴取を終えた段階で受任を断ってしまいます。敗訴する確率が99%くらいであるとした場合、費用を支払っていただいて裁判を始めたとしても、勝訴できる可能性がほとんどなく、その依頼者との間でもめてしまう可能性さえあるからです。
この種の事件の場合、何人もの弁護士に依頼を断られ、やむを得ず本人訴訟で戦っているケースが少なくありません。
このような事件の場合、お気の毒ではあるのですが、判決の結果はあらかじめ見えてしまっています。裁判を進めることそのものが時間の無駄というほかありません。
実は、本人訴訟で進められている事件のうち、過半数のものがこの分類に当てはまってしまうように思われます。
本人訴訟の勝訴率が高くないのは、実は、その事件そのものがこのような「筋悪事件」であるからだといえます。
それでは、本人訴訟で勝ち切るためにはどのような条件を満たす必要があるのでしょうか。それは、以下のようなものであると考えられます。
① まず、相手方がすべてを認めた場合と、欠席判決になる場合には確実に勝訴できます。
民事訴訟法では、相手方がすべて認めた場合には、裁判所は、原告の「主張」どおりの判決を下さなければならないと定めています。また、訴状が送達され、そこに同封されて入り「期日指定書」に指定されている期日に出頭しない相手方は、原告の「主張」をすべて認めたものとして扱うと定められています。従って、この欠席の場合にも、無条件で勝訴できるのです。これを欠席判決といいます。
この二つの場合には、ほとんど裁判に関する知識のないものでも勝訴することができるのです。
但し、この二つの場合でも、少なくとも、「訴状」という書類を裁判所に提出し、その「訴状」に最低限必要な「主張」が記載してある必要はあります。
従って、本人訴訟に挑戦しようとするものが一定限度以上の裁判知識を有するか、「訴状」を弁護士か法律関係に詳しいものに作成してもらうという条件が必要であることになります。
② 勝訴のために、最低限度必要とされる「主張」と「立証」との関係で、本人に「主張」・「立証」をきちんと行える能力があるか、あるいはこれらの作成などについて弁護士の支援を受けられる場合には、勝訴できるでしょう。
ここで、本人に「主張」・「立証」をきちんと行える能力があるといえるためにはどの程度の能力を要するかということですが、これはその事件の容易さ、困難さとの関係で決まるといえるでしょう。
例えば、最も容易な事件である「貸金請求」の場合には、いつ、どこで、誰に、どのような条件で、いくらを貸し付けたという事実を最低限度主張すればよいことになっています。
但し、「訴状」という書類には、一定の決まりごとが定められており、これを「書式」というのですが、この「書式」についてはその通りできなければいけないので、本屋さんで民事裁判に関する書籍を買い求め、「訴状」の「書式」についての知識を身に着けるところまでは行わなければなりません。
③ ここで「主張」と「立証」が比較的容易であるとはどういうことでしょうか。
これは、先ほどの「貸金請求」のように、「主張」を尽くしたと評価できるための要素、これを「要件事実」というのですが、これが単純なものということができます。例えば、売掛金請求事件の場合には、いつ、だれに、何を、いくらで売ったという「要件事実」さえ、「訴状」に記載すればよいのです。
少し難しい問題になりますが、ここで、「にもかかわらず、相手方が代金を支払わない」ということは主張しなくてもよいことになっているのです。この点については、相手方が、既に支払ったとか、原告が支払わなくてもよいといったとか、既に「消滅時効」によって消滅しているなどという事実を主張しなければならないことにされており、この主張のことは「抗弁」と呼ばれています。
ところが、この「要件事実」が複雑なものも少なくありません。例えば、最も困難と思われるものの代表格は「医療過誤訴訟」でしょう。
例えば胃潰瘍の手術で執刀した医師に落ち度があって、その患者が死亡してしまったという場合、本来なら、消化器外科の医師としては、これこれしなければならない注意義務があるのに、この医師は、これこれしてしまったため、患者がどのようになって死亡してしまったということをすべて「主張」しなければならないのです。
この問題は、「不法行為」による「損害賠償請求」における「因果関係」の「主張」と「立証」と呼ばれる問題であり、弁護士にとっても、勝訴判決を得ることが容易でない領域だといえます。
ところが、同じ「不法行為」による「損害賠償請求」における「因果関係」の問題であるのに、交通事故の場合には、「医療過誤訴訟」に比較すると「主張」はかなりやさしくなります。
いつ、どこで、だれが運転する車にはねられて、全治何か月の重傷を負ったという程度に「主張」すればよいのです。「立証」に関しても「事故証明書」、「実況見分調書」や「診断書」など、定型化された資料が、入手しやすいかたちで存在するのです。
④ ではなぜ弁護士は、「主張」と「立証」をきちんとまとめることが上手なのでしょうか。
つまり弁護士が、「主張」と「立証」について詳しいのかという点ですが、それは、過去にたくさん勉強し、かつ実際の事件を通じて裁判をたくさん経験してきているからです。
裁判に勝つための技術を身につけるためには、どのような法律があるかを知っていたり、すぐに調べられたりする技術、過去に同種の裁判例があったかどうかを知っていること、依頼者から、事実関係について必要な部分に絞って聞き出し、これを整理する能力、このように整理した事実関係と、その事実に適用される法律をきちんと整理して「訴状」などの書類に表現できる能力を過去の訓練によって身に着けているからだといえます。
このように書くとすぐにお分かりであろうと思われるのですが、このような能力はすべての弁護士に備わっているのかといえば、当然ながら、これらの能力は弁護士の一人一人によって千差万別だといえます。従って、ある事件について、Aという弁護士に依頼したら勝訴できたのに、Bという弁護士に依頼したら負けてしまうということはしばしば起きることなのです。そのために、本当にその裁判に勝訴したいと思ったら、まず腕の良い弁護士を探せと言われるのはこのためです。
⑤ なぜ、「本人訴訟」では勝訴率が低いのか。
ここまでにご説明したことからお分かりのことと思いますが、容易な事件であれば、民事裁判に関する書物を熟読して、「主張」と「立証」についてかなりの程度理解できれば勝訴できる可能性が高いといえます。
ところが、この書物を読んで勉強しないくせに、力に頼って本人訴訟を起こそうとする人がかなりいるのですが、このような人はほぼ間違いなく敗訴することになります。裁判は、いくら腕力が強くても勝てないのです。
一方、書物の力程度では容易に勝訴できそうもない事件について、どうしても本人訴訟をやってみたいという人がいます。
このようなタイプの人の場合、どうしても勝訴したいというのなら、腕の良い弁護士に後方支援を徹底して行ってくれるように依頼しなければなりません。
当然のこととして、その場合の後方支援に対してはかなりの手数料を支払わなければならないでしょう。
弁護士にとっては、すべてお任せいただいて、自分でその訴訟のすべてを担当するよりも、本人訴訟の後方支援をすることのほうが、余計な手間もかかるし、余計な神経も使うので、あまり歓迎ではないのです。
従って、安い費用では受任してくれる弁護士はいないし、にもかかわらず、支払う費用が用意できないからという理由によって、やむを得ず本人訴訟に踏み切るという人がいるのですが、このような人にはお気の毒ではありますが、結果は今から見えていると言わざるを得ないのです。
民事裁判には特有のルールがあるのです。そのルールを知らずに民事裁判に挑戦することは、野球のルールを全く知らずにバッターボックスに立つのとほとんど同じことだといえます。
これまでのご説明で、なぜ、「本人訴訟」では勝訴率が低いのかということがお分かりいただけたことと思います。
≪全く難しくない事件≫であれば、勝てる可能性はかなりあるでしょう。それでも、民事裁判のルールをきちんと理解したうえで、その裁判手続の最初から最後までをきちんと対応することが必要だといえます。
≪少し難しい事件≫であれば、その人が弁護士の支援を受けながら本人訴訟を続けるのであれば勝訴できる可能性があるでしょう。
そうでなければ、民事裁判のルールをきちんと理解している人であっても、その裁判に勝ち切ることは容易ではないでしょう。
民事裁判の基本的なルールとして「主張」と「立証」という二つの要素が絶対的に必要なのですが、難しい事件というのは、この二つの要素のうち、いずれかがあるいは両方が難しいということです。
特に「主張」がきちんと組み立てられていなければ、どのように立派な証拠を提出したとしても勝訴の可能性は全くありません。
従って、勝訴の可能性を手に入れるためには、この「主張」の骨組みの構築だけは弁護士の手を借りる必要があるものと考えられるのです。
≪かなり難しい事件≫であれば、本人訴訟で進めることは得策ではなく、最初から最後まで弁護士に任せなければ、勝訴のチャンスは生じてこないでしょう。
この種の事件は、最初から最後まで弁護士に任せたとしても、必ず勝訴できるとは限りません。いわゆる「微妙な事件」と呼ばれるものであり、実際にこの分類に当てはめられる事件が少なくありません。
実は、弁護士と一口に言っても、その力量は千差万別であり、特に民事裁判においては、弁護士の力量が勝敗の分かれ目になってしまうことも結構多いものです。
経験が豊富で、理論構成や文章表現力に優れていて、かつ勉強熱心で、判例に対する知識が豊富であるというような条件を満たしている弁護士は、おそらく割合的には数十人に一人くらいなのではないかと思います。
この分類に属する事件の場合には、そもそも、この数十人に一人くらいしかいない弁護士に依頼しなければ勝訴の可能性はほとんどないのです。
≪とんでもなく難しい事件≫であれば、数十人に一人くらいの腕の良い弁護士に依頼したとしてもなお勝訴の可能性がほとんどありません。
もとより、本人訴訟で戦っても、勝訴に至る可能性は全くありません。
実はこのような分類に属する事件というのは少なくないのです。いわゆる「筋悪事件」であり、「事実」そのものが勝訴の方向で組み立てられず、したがって証拠に沿った主張を生み出すことが全く困難な事件のことなのです。言葉を換えれば、事実関係そのものが勝訴できる要素を持っていない事件のことです。
このような事件の場合、ほとんどの弁護士は、あらかたの事情聴取を終えた段階で受任を断ってしまいます。敗訴する確率が99%くらいであるとした場合、費用を支払っていただいて裁判を始めたとしても、勝訴できる可能性がほとんどなく、その依頼者との間でもめてしまう可能性さえあるからです。
この種の事件の場合、何人もの弁護士に依頼を断られ、やむを得ず本人訴訟で戦っているケースが少なくありません。
このような事件の場合、お気の毒ではあるのですが、判決の結果はあらかじめ見えてしまっています。裁判を進めることそのものが時間の無駄というほかありません。
実は、本人訴訟で進められている事件のうち、過半数のものがこの分類に当てはまってしまうように思われます。
本人訴訟の勝訴率が高くないのは、実は、その事件そのものがこのような「筋悪事件」であるからだといえます。
それでは、本人訴訟で勝ち切るためにはどのような条件を満たす必要があるのでしょうか。それは、以下のようなものであると考えられます。
① まず、相手方がすべてを認めた場合と、欠席判決になる場合には確実に勝訴できます。
民事訴訟法では、相手方がすべて認めた場合には、裁判所は、原告の「主張」どおりの判決を下さなければならないと定めています。また、訴状が送達され、そこに同封されて入り「期日指定書」に指定されている期日に出頭しない相手方は、原告の「主張」をすべて認めたものとして扱うと定められています。従って、この欠席の場合にも、無条件で勝訴できるのです。これを欠席判決といいます。
この二つの場合には、ほとんど裁判に関する知識のないものでも勝訴することができるのです。
但し、この二つの場合でも、少なくとも、「訴状」という書類を裁判所に提出し、その「訴状」に最低限必要な「主張」が記載してある必要はあります。
従って、本人訴訟に挑戦しようとするものが一定限度以上の裁判知識を有するか、「訴状」を弁護士か法律関係に詳しいものに作成してもらうという条件が必要であることになります。
② 勝訴のために、最低限度必要とされる「主張」と「立証」との関係で、本人に「主張」・「立証」をきちんと行える能力があるか、あるいはこれらの作成などについて弁護士の支援を受けられる場合には、勝訴できるでしょう。
ここで、本人に「主張」・「立証」をきちんと行える能力があるといえるためにはどの程度の能力を要するかということですが、これはその事件の容易さ、困難さとの関係で決まるといえるでしょう。
例えば、最も容易な事件である「貸金請求」の場合には、いつ、どこで、誰に、どのような条件で、いくらを貸し付けたという事実を最低限度主張すればよいことになっています。
但し、「訴状」という書類には、一定の決まりごとが定められており、これを「書式」というのですが、この「書式」についてはその通りできなければいけないので、本屋さんで民事裁判に関する書籍を買い求め、「訴状」の「書式」についての知識を身に着けるところまでは行わなければなりません。
③ ここで「主張」と「立証」が比較的容易であるとはどういうことでしょうか。
これは、先ほどの「貸金請求」のように、「主張」を尽くしたと評価できるための要素、これを「要件事実」というのですが、これが単純なものということができます。例えば、売掛金請求事件の場合には、いつ、だれに、何を、いくらで売ったという「要件事実」さえ、「訴状」に記載すればよいのです。
少し難しい問題になりますが、ここで、「にもかかわらず、相手方が代金を支払わない」ということは主張しなくてもよいことになっているのです。この点については、相手方が、既に支払ったとか、原告が支払わなくてもよいといったとか、既に「消滅時効」によって消滅しているなどという事実を主張しなければならないことにされており、この主張のことは「抗弁」と呼ばれています。
ところが、この「要件事実」が複雑なものも少なくありません。例えば、最も困難と思われるものの代表格は「医療過誤訴訟」でしょう。
例えば胃潰瘍の手術で執刀した医師に落ち度があって、その患者が死亡してしまったという場合、本来なら、消化器外科の医師としては、これこれしなければならない注意義務があるのに、この医師は、これこれしてしまったため、患者がどのようになって死亡してしまったということをすべて「主張」しなければならないのです。
この問題は、「不法行為」による「損害賠償請求」における「因果関係」の「主張」と「立証」と呼ばれる問題であり、弁護士にとっても、勝訴判決を得ることが容易でない領域だといえます。
ところが、同じ「不法行為」による「損害賠償請求」における「因果関係」の問題であるのに、交通事故の場合には、「医療過誤訴訟」に比較すると「主張」はかなりやさしくなります。
いつ、どこで、だれが運転する車にはねられて、全治何か月の重傷を負ったという程度に「主張」すればよいのです。「立証」に関しても「事故証明書」、「実況見分調書」や「診断書」など、定型化された資料が、入手しやすいかたちで存在するのです。
④ ではなぜ弁護士は、「主張」と「立証」をきちんとまとめることが上手なのでしょうか。
つまり弁護士が、「主張」と「立証」について詳しいのかという点ですが、それは、過去にたくさん勉強し、かつ実際の事件を通じて裁判をたくさん経験してきているからです。
裁判に勝つための技術を身につけるためには、どのような法律があるかを知っていたり、すぐに調べられたりする技術、過去に同種の裁判例があったかどうかを知っていること、依頼者から、事実関係について必要な部分に絞って聞き出し、これを整理する能力、このように整理した事実関係と、その事実に適用される法律をきちんと整理して「訴状」などの書類に表現できる能力を過去の訓練によって身に着けているからだといえます。
このように書くとすぐにお分かりであろうと思われるのですが、このような能力はすべての弁護士に備わっているのかといえば、当然ながら、これらの能力は弁護士の一人一人によって千差万別だといえます。従って、ある事件について、Aという弁護士に依頼したら勝訴できたのに、Bという弁護士に依頼したら負けてしまうということはしばしば起きることなのです。そのために、本当にその裁判に勝訴したいと思ったら、まず腕の良い弁護士を探せと言われるのはこのためです。
⑤ なぜ、「本人訴訟」では勝訴率が低いのか。
ここまでにご説明したことからお分かりのことと思いますが、容易な事件であれば、民事裁判に関する書物を熟読して、「主張」と「立証」についてかなりの程度理解できれば勝訴できる可能性が高いといえます。
ところが、この書物を読んで勉強しないくせに、力に頼って本人訴訟を起こそうとする人がかなりいるのですが、このような人はほぼ間違いなく敗訴することになります。裁判は、いくら腕力が強くても勝てないのです。
一方、書物の力程度では容易に勝訴できそうもない事件について、どうしても本人訴訟をやってみたいという人がいます。
このようなタイプの人の場合、どうしても勝訴したいというのなら、腕の良い弁護士に後方支援を徹底して行ってくれるように依頼しなければなりません。
当然のこととして、その場合の後方支援に対してはかなりの手数料を支払わなければならないでしょう。
弁護士にとっては、すべてお任せいただいて、自分でその訴訟のすべてを担当するよりも、本人訴訟の後方支援をすることのほうが、余計な手間もかかるし、余計な神経も使うので、あまり歓迎ではないのです。
従って、安い費用では受任してくれる弁護士はいないし、にもかかわらず、支払う費用が用意できないからという理由によって、やむを得ず本人訴訟に踏み切るという人がいるのですが、このような人にはお気の毒ではありますが、結果は今から見えていると言わざるを得ないのです。
民事裁判には特有のルールがあるのです。そのルールを知らずに民事裁判に挑戦することは、野球のルールを全く知らずにバッターボックスに立つのとほとんど同じことだといえます。
これまでのご説明で、なぜ、「本人訴訟」では勝訴率が低いのかということがお分かりいただけたことと思います。