原・白川法律事務所　hara shirakawa law office

製造物責任法は、製造物の欠陥により損害が生じた場合の製造業者等の損害賠償責任について定めた法律のことをいい、英語の（product liability）から、ＰＬ法と呼ばれることもあります。

損害賠償責任を追及する場合、民法の不法行為法における一般原則によれば、要件の一つとして加害者に故意・過失があったことにつき被害者側が証明責任を負います。
しかし多くは、過失の証明が困難であるために損害賠償を得ることが不可能になる場合があるとの問題意識から、同法で製造者の過失を要件とせず、製造物に欠陥があったことを要件とすることによって、損害賠償責任を追及しやすくしたのです。製造物責任の意義はここにあるのです。

製造業者等は、引き渡した製造物の欠陥により他人の生命、身体または財産を侵害したときは、これによって生じた損害賠償をする責めに任じます。
ただし、欠陥の存在、欠陥と損害との間の因果関係については、被害者側に証明責任があり、加害者側である製造者等に証明責任を転換するまでの立法にはなっていません。
また、製造物責任法は、製造物の欠陥に起因する損害賠償請求に関して、民法の不法行為責任の要件を一部修正したものであり、責任要件を「過失」から「欠陥」に修正していますが、損害賠償の他の要件は変更していませんので、これ以外の要件については民法７０９条以下に定める不法行為の規定によることになっています（製造物責任法６条）。

なお、本法にいう製造物は、「製造または加工された動産」と定義されており、「加工」はかなり広く解釈されています（２条１項）。したがって、サービス、不動産、未加工のものは定義上含まれません
また、「欠陥」とは、「当該製造物の特性、その通常予見される使用形態、その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期その他の当該製造物に係る事情を考慮して、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていること」と定義されており（２条２項）、一般的には以下の種類に分類されます。
設計上の欠陥（設計自体に問題があるために安全性を欠いた場合のことです）
製造上の欠陥（製造物が設計や仕様どおりに製造されなかったために安全性を欠いた場合のことです）
指示・警告上の欠陥（設計指示の抗弁と呼ばれます。具体的には、製造物から除くことが不可能な危険がある場合に、その危険に関する適切な情報を与えなかった場合や取扱説明書の記述に不備がある場合などが該当します）。
企業の立場に立った場合、製造物責任法によって請求される場合には、複数あるいは集団によって請求されることが多く、賠償すべき損害も極めて高額に達することが多くなります。