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原・白川法律事務所 hara shirakawa law office

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借家関係
1.家主から家賃を増額すると言われた
家主は、一定の要件(不動産に対する租税の増加、建物価格の上昇、経済事情の変動、近傍同種の建物の家賃と比較して不相当となったときなど)を充たせば、家賃の増額を請求することができるとされています。

借家人が家賃の増額に不服であれば、家主と協議することになりますが、協議が調わない場合、家主は家賃増額が正当であることを認めてもらうための裁判を起こすことができます。

借家人は、この裁判が確定するまで、相当と考える金額を支払うことになりますが、結果的にその金額が裁判で確定した金額よりも低ければ、不足額に利息を付けて支払わなければなりません。

2.隣室の騒音がひどい
マンション等の集合住宅の場合、多少の音であればお互い様ということで我慢しなければなりません。

我慢の限度(受忍限度)を超える場合、法律的には家主への請求(隣室の騒音を止めさせるための措置を施す請求)や隣室の住人への請求(差止請求、損害賠償請求)が可能となりますが、隣室の住人との関係は将来的に続いていくものですから、できる限り話し合いによる解決をお勧めしています。

3.アパートの借主が家賃を支払わない
一般的な契約では、相手方が債務を履行しなければ契約を解除することができますが、借家契約等の賃貸借契約は当事者間の信頼関係を基本とする継続的な契約ですから、借家契約を解除してアパート居室の明渡しを求めるためには、当事者間の信頼関係が破壊されていることが要件になります。

この点、家賃の不払いについては、1回の不払いでは信頼関係が破壊されたとまでは言えませんので、契約を解除することは困難と思われます。

一般的には、3ヶ月程度不払いの状況が続けば、信頼関係が破壊されたと認められることが多いようです。

4.建物の賃借人が夜逃げをしてしまった
賃借人が長期間不在となり、賃料の支払もないような場合には、賃借人に対する建物明渡請求訴訟を起こすことが考えられます。

この場合、賃借人の居場所が分からなければ、公示催告という手続(裁判所の掲示板に呼出状を掲示し、一定期間が経過すれば裁判を進められる手続)を経て裁判を進めることができます。

このような裁判を経ないまま、賃貸人が建物内に立入って残存物を搬出したりすると、後日問題となる可能性がありますので、避けるべきです(裁判によらない「自力救済」は原則として禁じられているため、後日、賃借人から慰謝料請求をされたり、住居侵入罪等に問われる可能性があります)。

5.アパートの部屋を貸しているが、借家人の弟が居住している
法律の規定では、無断転貸は契約の解除理由とされていますが、判例は、賃貸借契約が信頼関係を基本とする継続的契約であることを理由に解除を制限しており、当事者間の信頼関係が破壊されるような背信行為である場合に限って解除が認められるとしています。

したがって、借家の家賃がきちんと支払われており、借家人の弟も特に問題なく居住しているのであれば、契約の解除は認められないと思われます。

6.人が死亡した場合、借家人の内縁の配偶者はそのまま住み続けることができるか
内縁の配偶者に相続権はないのですが、借家に関しては、借家人が相続人なしに死亡した場合において、内縁の配偶者に借家権の承継を認める規定があります。

亡借家人に相続人がいる場合、この規定は適用されず、内縁の配偶者が借家権を承継することはできないのですが、相続人が内縁の配偶者に退去を求めることが権利の濫用として認められない可能性は高いと思われます。

7.借家契約の終了後、賃貸物件を明渡したのに、家主が建物内の汚損・破損等を理由にして敷金を返さない
建物の借主は、退去の際、建物を原状に回復した上で明渡さなければなりませんが、契約書に特別な条項がない限り、入居した時と全く同じ状態に戻すことまでは必要なく、経年変化や通常の使用によっても生じるような損耗・汚損については、そのままの状態で明渡せばよいと解されています。

なぜなら、建物の賃貸借は建物を借主に一定期間利用させることが前提となっており、家主はその利用の対価として賃料を受け取っているのですから、上記のような損耗・汚損は家賃の支払によって賄われているといえるからです。
次の記事は、「定期借地権」です。 [読む]
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